杖立温泉

(昭和12年頃の観光案内)
杖立温泉(療養向き)

地は筑後川の上流、大分、熊本の県境の杖立川の深い渓谷の狭地を占め緑濃かな仙境で、水が清く蚊がいない。神功皇后三韓の役の御帰途御産気あり、普く御産湯を探し給うたが、この地で山上から遙かの渓底で猿の沐浴するのを認め、これを汲んで御産湯とされ給うたという故事がある。また、光仁天皇の宝亀二年(771年)弘法大師この地を巡錫(ジュンシャク)の折り、この湯を試みて現世最上の薬湯であるとて、薬師如来の尊像を自ら彫刻し、雲泉寺を建ててこれを安置し、末代まで弘誓の標しとして携えてきた竹杖を立てたところ、その節々から倒まに枝葉を生じたという伝説から杖立の名が生じたともいう。

土産品:竹細工・温泉素麺

交通:日田駅から24キロ。自動車乗合1時間、80銭。貸切5円。

旅館:筑前屋本店・久喜田旅館・不老閣・かねいし旅館・千歳旅館・泉屋・米屋(宿泊料1円50銭以上五円)